希望の夢路
「ひ、ろとさん…やだ…」
彼女は目を伏せた。
「どうして急に…ディープキスなんて」
どうして急に、というけれど、僕はずっと君としたいと思っていたんだよ。
君が嫌だというから我慢していただけで、本当はずっと前からしたかった。君と、濃密なキスを。
君の唇は、今日も潤っているんだね。
とても潤っていて、また君の唇を奪いたくなる。何度奪っても足りないくらいに。もしかして、グロス…塗ってる?
僕は彼女の唇の輪郭を、指でなぞった。彼女はくすぐったい、と僕の手首を掴んだ。
「グロス…塗ってる?」
僕は彼女の鼻に触れるくらい近くで、そう呟いた。
「っ、はい…」
「誰のため?」
「もう、わかってるでしょう。博人さんのためです」
「本当?嬉しいな」
彼女は、笑いながらも照れていた。

彼女の見えない左目。
こうなってしまったのは僕のせい。
でも、それを感じさせないくらい彼女を幸せにする。そんなことなんか、忘れてしまうくらい彼女を、幸せで埋め尽くす。僕は君の、杖になる。
君の手となり足となり、君を守るよ。
そんなことで償えるとは思っていない。一生かけて償おうと思っているよ。
そう、一生をかけて、だよ。
君はまだ気づいていないんだろうな。
僕が並大抵の覚悟じゃない気持ちを胸に秘めているとは。
僕が彼女をエスコートする。
僕は君のボディガードだ。
何があっても君を守るから。
ずっとそばにいてね。
いやだと言っても、離す気はさらさらないけど。
君は、いつもきらきらとした目で僕を見るね。その目を曇らせないように、僕は君と一緒に幸せを掴むよ。
この手で、一緒に掴んでいこうね。
絶対に僕の手を、離すんじゃないよ。
僕が君の、左目になるから。
大丈夫、不安なんて吹き飛ばす。
君は、僕の太陽。僕のダイヤモンド。
ずっと僕の胸で、輝いていてね。

「心愛ちゃん」
「ん?なんですか?」
「もう一回、いい?」
「はい…」
彼女が目を閉じた。
僕は再び、優しく彼女の唇を塞いだ。
彼女の舌と僕の舌はしっかりと絡み合った。
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