希望の夢路
「ねえ、ひろくん」
「ん?何?」
「どうして私を選んだの?」
この思いは、ずっとずっと私の心の中を支配してきた。
未だに、私はこの固い壁に悩まされている。
「心愛ちゃん…?」
彼が、私の顔を心配そうに覗き込む。
「何かあった?」
「ううん、そうじゃなくて」
こんなに手のかかる私を文句も言わずに看病してくれたり、
体のことを何かと気遣ってくれたり、私のことを大切に思ってくれているのはよく伝わってくる。
素直に嬉しい。
「そうじゃなくて?」
「ひろくん、本当はー」
本当は、健康な女の方がいいと思ってるに決まってる。
こんな、難病の私の世話で時間を費やすくらいなら、
もっと素敵な女と一緒にいた方が楽しいに決まってる。
本当に大切にされているということは、よくわかる。
けれど、不安になってしまうのはきっと、彼に素敵な女友達がたくさんいるからなのだろうと思う。
嫉妬してしまう自分が、とことん嫌になる。
美しすぎる彼とこんな私とは不釣り合いだと、何度思ったことか。
彼が私を選んでくれた時―彼が私のことを好きだと言ってくくれた時、嘘だと思った。
信じられなかった。
こんな私の、どこが良いのかと。
どうして私を選んだのかという思いだけが、私を不安に陥れた。
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