希望の夢路
裏切り
大切な話がある、と彼が私の手を引っ張って寝室のベッドに腰掛けた。
「大切な話って?」
「……体を重ねたい、心愛ちゃんと」
「えっ…」
彼からそんなことを言われるとは、思いもしなかった。
「このことはずっと、考えてはいたんだ。君と一緒に…一つになりたいつて気持ちが、だんだんと強くなってきて今に至る」
彼が真剣な目で私を見た。
「返事はいつでもいい。イエスでもノーでも、待ってるから」
「ごめんね、すぐに返事できなくて」
私は、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「いいんだよ」
彼は、どこまでも優しい。
「寝よっか。もう遅いし」
「うん、眠くなってきちゃった」
彼が私の髪を撫でるから、心地よくて私はすぐに意識を手放した。
それからというもの、私は毎日彼と体を重ねるかどうかを考えるようになった。今まで全く考えていなかった訳ではない。いずれそう言われるということは覚悟していたものの、怖かった。
男の人と経験したことなんて一度もない私にとって、体を重ねるという行為は『恐怖』でしかなかった。
しかも、私は難病。
普通の体ではないのだ。
まだ『か弱い』ならどんなにかいいだろう。か弱いなら、時が経てば痛みは癒えるかもしれない。
けれど私の場合は違う。
難病の私が、腸に重大な疾患を抱えている私が体を重ねるだなんてそんなこと、できるのだろうか。
そりゃあ、できることなら彼と一つになりたい。でも、きっとそれは無理。
だって、彼のモノを全部(すべて)受け入れられるという保証はない。
全く受け入れられないかもしれない。
百歩譲って少しは受け入れられたとしても、全部を受け入れられるかといえば、それは不可能に近い。
彼を受け入れてひとつになったとしても彼のモノを受け入れた衝撃は、普通の人の二倍、いや五倍ほどに膨れ上がる。もしそうなったら、私の体は一体どうなってしまうのだろうか。
今のところは良好で安定しているこの体調が、一変して悪化することもありえる。
悪化して、起き上がることも苦痛になってしまうかもしれない。吐き気が強くなり食欲もなくなってしまうかもしれない。ずっと寝込んでしまうような生活になる可能性だって、否定出来ない。
「大切な話って?」
「……体を重ねたい、心愛ちゃんと」
「えっ…」
彼からそんなことを言われるとは、思いもしなかった。
「このことはずっと、考えてはいたんだ。君と一緒に…一つになりたいつて気持ちが、だんだんと強くなってきて今に至る」
彼が真剣な目で私を見た。
「返事はいつでもいい。イエスでもノーでも、待ってるから」
「ごめんね、すぐに返事できなくて」
私は、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「いいんだよ」
彼は、どこまでも優しい。
「寝よっか。もう遅いし」
「うん、眠くなってきちゃった」
彼が私の髪を撫でるから、心地よくて私はすぐに意識を手放した。
それからというもの、私は毎日彼と体を重ねるかどうかを考えるようになった。今まで全く考えていなかった訳ではない。いずれそう言われるということは覚悟していたものの、怖かった。
男の人と経験したことなんて一度もない私にとって、体を重ねるという行為は『恐怖』でしかなかった。
しかも、私は難病。
普通の体ではないのだ。
まだ『か弱い』ならどんなにかいいだろう。か弱いなら、時が経てば痛みは癒えるかもしれない。
けれど私の場合は違う。
難病の私が、腸に重大な疾患を抱えている私が体を重ねるだなんてそんなこと、できるのだろうか。
そりゃあ、できることなら彼と一つになりたい。でも、きっとそれは無理。
だって、彼のモノを全部(すべて)受け入れられるという保証はない。
全く受け入れられないかもしれない。
百歩譲って少しは受け入れられたとしても、全部を受け入れられるかといえば、それは不可能に近い。
彼を受け入れてひとつになったとしても彼のモノを受け入れた衝撃は、普通の人の二倍、いや五倍ほどに膨れ上がる。もしそうなったら、私の体は一体どうなってしまうのだろうか。
今のところは良好で安定しているこの体調が、一変して悪化することもありえる。
悪化して、起き上がることも苦痛になってしまうかもしれない。吐き気が強くなり食欲もなくなってしまうかもしれない。ずっと寝込んでしまうような生活になる可能性だって、否定出来ない。