希望の夢路
彼に体を重ねたいと告げられてから、二ヶ月が経とうとしていた。
私はある決意を胸に、彼と向き合った。
「ひろくん、この前の話だけど」
「この前の話?」
寝室のベッドに腰掛けていた私は、隣にいる彼を見つめた。
「うん。ごめん、ひろくん。私、ひろくんとは…一つになれない」
「…そうか」
彼は残念そうな顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「心愛ちゃんの体が、一番大事だよ。
気にしないで。何も、体を重ねるだけが愛情じゃないから」
「ごめんね、ひろくん…」
私は、彼の顔を見ることができなかった。彼は私と体を重ねることを楽しみにしていたことはわかっていた。
でも彼は優しいから、私を気遣ってそんな言葉をかけてくれただけ。
内心がっかりしていたことは、肩を落としている様子からもわかった。
私がこんな体じゃなければ、彼と一つになれた。こんな体じゃなければ、彼が私を気遣うこともなければがっかりさせることもなかった。
彼を、彼の体を満足させることができたはずなのに。
ーでも、私は難病。
一つになりたくても、一つになれない。他の女の人ができることが、私にはできない。普通の恋人ができることが、私と彼にはできない。
悔しい、悲しい、つらい。
その感情だけが巡回している。
泣きたくても、彼のいるところでは泣かない。
「気にすること、ないからね」
「うん、ありがとう」
私は彼とベッドに入った。
私はいつも彼と向かい合って寝るのだけれど、今日は彼と背中合わせで寝る。ごろんと向きを変えた私は、静かに目を閉じた。
しばらくして、彼の寝息が聞こえてきた。私はそっと身を起こし彼を見つめた。彼を見つめていたら、彼を満足させられない自分に腹が立って悲しくなった。いろんな思いが混ざりあって、
気がついたら視界が涙で滲んでいて、彼の姿はぼやけていた。
「うっ、うう…」
思わず漏れた声をこれ以上出して彼が起きてしまわないように、私は口を手で覆った。
「私が難病じゃなければ…」
涙は拭っても拭っても溢れて止まらなかった。
私はある決意を胸に、彼と向き合った。
「ひろくん、この前の話だけど」
「この前の話?」
寝室のベッドに腰掛けていた私は、隣にいる彼を見つめた。
「うん。ごめん、ひろくん。私、ひろくんとは…一つになれない」
「…そうか」
彼は残念そうな顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「心愛ちゃんの体が、一番大事だよ。
気にしないで。何も、体を重ねるだけが愛情じゃないから」
「ごめんね、ひろくん…」
私は、彼の顔を見ることができなかった。彼は私と体を重ねることを楽しみにしていたことはわかっていた。
でも彼は優しいから、私を気遣ってそんな言葉をかけてくれただけ。
内心がっかりしていたことは、肩を落としている様子からもわかった。
私がこんな体じゃなければ、彼と一つになれた。こんな体じゃなければ、彼が私を気遣うこともなければがっかりさせることもなかった。
彼を、彼の体を満足させることができたはずなのに。
ーでも、私は難病。
一つになりたくても、一つになれない。他の女の人ができることが、私にはできない。普通の恋人ができることが、私と彼にはできない。
悔しい、悲しい、つらい。
その感情だけが巡回している。
泣きたくても、彼のいるところでは泣かない。
「気にすること、ないからね」
「うん、ありがとう」
私は彼とベッドに入った。
私はいつも彼と向かい合って寝るのだけれど、今日は彼と背中合わせで寝る。ごろんと向きを変えた私は、静かに目を閉じた。
しばらくして、彼の寝息が聞こえてきた。私はそっと身を起こし彼を見つめた。彼を見つめていたら、彼を満足させられない自分に腹が立って悲しくなった。いろんな思いが混ざりあって、
気がついたら視界が涙で滲んでいて、彼の姿はぼやけていた。
「うっ、うう…」
思わず漏れた声をこれ以上出して彼が起きてしまわないように、私は口を手で覆った。
「私が難病じゃなければ…」
涙は拭っても拭っても溢れて止まらなかった。