希望の夢路
「二人とも、いい加減にして!」
さちはるの言葉で、私ははっとした。
「ごめんな、保乃果。つい…」
「ううん、いいの。こっちこそごめんね」
「心愛さん、全く見えないんだもんね。可哀想に…」
さちはるが呟いた。
「外には出てるの?たまには、外出しないと体にも良くないんじゃない?」
「うん、それはわかってる。僕も外に出ようって何度も誘ってるんだけど、外に出ようとしないんだ」
「出たくないのかな?外」
「さちはる、さすがに外には出たいと思うけど…勇気が出ないのかな?」
「うーん、見えている時とは状況が違うからな。目が見えている時は、難病だとしても外には結構出て買い物とかもしてたし…」
博人が天井を見上げて言った。
「やっぱり、目が見えなくなってからなのかな?」
「そうだと思う。見えなかったら、外出るの怖いもんな」
「そうだよね…私だったら引きこもっちゃうな」
さちはるがそんなことを言うから、私も博人も驚いて顔を見合わせた。
「確かに…心愛ちゃんと同じ状況だったら、引きこもっちゃうかも…」
「おいおい、保乃果まで何を言うんだよ」
「だってそうでしょ?怖いってのもあるし、きっと外にはたくさんのハードルがあるんじゃないかな」
「たくさんのハードル?」
博人が、私の言葉を聞き返した。
「うん。例えば…階段とか。他にもあるとは思うけど、階段の昇り降りって大変なんじゃないかな。エレベーターならまだいいけど、エスカレーターも大変そう」
「それは確かに…そうだな」
「外に出たくても、地下鉄とかいろいろ大変そう」
「遥香…」
そうだよな、と博人は呟いた。
「でも、幸せだよ、心愛さんは」
「え?」
博人は目を瞬かせた。
「だってさ、こんなに愛してくれる恋人がいるんだもん。盲目になっても、そばに居て支えてくれる人がいるんだから」
確かにそうだな。
普通なら病気だってわかっただけで離れていく人もいるだろうに、博人は病気ーしかも難病の心愛ちゃんを支えているんだもん。
それだけですごいよ。
なのに、盲目になってしまった心愛ちゃんを見捨てずにずっと愛して、傍で支えてるんだもん。さすがだ。
なかなかできるようなことじゃない。
普通じゃ出来ないよ。
まあ、病気になったからって
ぽい、って恋人を掌を返したように捨てる奴なんて、男の風上にも置けないけど。
「あんな真っ暗な世界に、心愛ちゃんはずっといるんだね」
私はぽつりと呟いた。
どんなに心細いだろう。
何も見えない世界に一人で住んでいるだなんて、私にはとてもじゃないけど耐えられない。
さちはるの言葉で、私ははっとした。
「ごめんな、保乃果。つい…」
「ううん、いいの。こっちこそごめんね」
「心愛さん、全く見えないんだもんね。可哀想に…」
さちはるが呟いた。
「外には出てるの?たまには、外出しないと体にも良くないんじゃない?」
「うん、それはわかってる。僕も外に出ようって何度も誘ってるんだけど、外に出ようとしないんだ」
「出たくないのかな?外」
「さちはる、さすがに外には出たいと思うけど…勇気が出ないのかな?」
「うーん、見えている時とは状況が違うからな。目が見えている時は、難病だとしても外には結構出て買い物とかもしてたし…」
博人が天井を見上げて言った。
「やっぱり、目が見えなくなってからなのかな?」
「そうだと思う。見えなかったら、外出るの怖いもんな」
「そうだよね…私だったら引きこもっちゃうな」
さちはるがそんなことを言うから、私も博人も驚いて顔を見合わせた。
「確かに…心愛ちゃんと同じ状況だったら、引きこもっちゃうかも…」
「おいおい、保乃果まで何を言うんだよ」
「だってそうでしょ?怖いってのもあるし、きっと外にはたくさんのハードルがあるんじゃないかな」
「たくさんのハードル?」
博人が、私の言葉を聞き返した。
「うん。例えば…階段とか。他にもあるとは思うけど、階段の昇り降りって大変なんじゃないかな。エレベーターならまだいいけど、エスカレーターも大変そう」
「それは確かに…そうだな」
「外に出たくても、地下鉄とかいろいろ大変そう」
「遥香…」
そうだよな、と博人は呟いた。
「でも、幸せだよ、心愛さんは」
「え?」
博人は目を瞬かせた。
「だってさ、こんなに愛してくれる恋人がいるんだもん。盲目になっても、そばに居て支えてくれる人がいるんだから」
確かにそうだな。
普通なら病気だってわかっただけで離れていく人もいるだろうに、博人は病気ーしかも難病の心愛ちゃんを支えているんだもん。
それだけですごいよ。
なのに、盲目になってしまった心愛ちゃんを見捨てずにずっと愛して、傍で支えてるんだもん。さすがだ。
なかなかできるようなことじゃない。
普通じゃ出来ないよ。
まあ、病気になったからって
ぽい、って恋人を掌を返したように捨てる奴なんて、男の風上にも置けないけど。
「あんな真っ暗な世界に、心愛ちゃんはずっといるんだね」
私はぽつりと呟いた。
どんなに心細いだろう。
何も見えない世界に一人で住んでいるだなんて、私にはとてもじゃないけど耐えられない。