希望の夢路
「ハッピー・ショッピングって知ってる?」
彼が、遥香さんとほのちゃんが帰ったあとに急にそんなことを言い出すから、私は驚いた。
「なにそれ?ハッピーウェディングじゃなくて?」
「うん。ハッピー・ショッピング」
「わかんない。初めて聞いた」
ハッピー・ショッピングってなに?
何かの業界用語?専門用語?
造語?最近の言葉なのかな。
よくわからないな。
直訳すると、幸せな買い物?

「そのままの意味だよ。幸せな買い物」
「何かいいことあるの?」
「さあ?どうかな」
「そんなこと言わないでよ…」
不安になっちゃうじゃない、
そんないい方されちゃ…。
「ショッピングってさ、本来楽しいもんなんだよ」
確かに、そうだ。
ショッピングって、楽しい。
それはよくわかる。
ショッピングは嫌いじゃないし、
むしろ出かけるのは嫌いじゃない。
でもあの事件以来、外出すること自体が恐ろしいことになってしまった。
「買い物しててさ、あ!これいいな!って思うものってあるじゃん」
「うん。買う予定もなかったのに、ついつい買っちゃうっていうね。衝動買いみたいな」
「そうそう!でもさ、あの時買っといてよかったーって思うこともあれば、なんでこんなの買ったんだろ、とか思うことってない?」
「あるある!買うのを渋って、数週間後とかに行ったらなかったっていう落胆を感じることもあるよ。ああ〜あの時、買っとけばよかったなーって」
買い物が、私すごく好きなんだなって今更気づいた。買い物の話になると、こんなに話が膨らんでいく。
そんな話をしているだけで楽しくなる。

なんだろう、この気持ち。

「そうそう。後悔する時あるんだよな。あの時買っておけばー!って」
彼が笑った。
「でも、衝動買いとかしちゃって後悔する時もあるよ」
「確かに」
そう。欲しいと思ったら直ぐに買ってしまう。私の悪いところは衝動買いが多いこと。そして欲しいものには迷わずお金を使ってしまうところがあるから、やっぱり浪費してしまっていたりするのかも、とか思ったりもする。
「あれ?なんでこんなもの買ったんだろう?ってね。よーく考えてみたら今はそんなに必要なくて足りてるものだったり」
「うんうん、そうなの!よくある…」
ああ、衝動買いしてしまう自分が不甲斐ない。もっと節約する癖をつけなきゃいけないのは、わかっているんだけれどなかなかそれが実行できていないという始末。
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