希望の夢路
支笏湖の奇跡
僕は今、彼女とバスに乗り隣同士に座っている。
彼女は疲れているのか睡魔に勝てないのか、ぐっすりと寝てしまっている。
その寝顔というのが、とても可愛くて頬が緩んでしまう。
彼女は僕の肩に頭を乗せてすやすや眠っている。彼女の右手には、しっかりと杖が握られている。
ふと、窓の外へと視線を移す。
中心部からはだいぶ離れ、山の中へと入ってきた。
綺麗な青空に、照りつける太陽。
遠出するには、とても良い日和だ。
何故僕が彼女と遠出しているのかというと、彼女が外へ出たいと強く僕に求めてきたからだ。
「ひろくん、私外に出たい」
「心愛ちゃん…!本当!?よし、行こう。どこ行きたい?」
僕は、心愛ちゃんが外へ出たいと自分から言ってくれたことが、とても嬉しかった。
「支笏湖」
「支笏湖?」
うん、と彼女は頷いた。
支笏湖って確か、千歳にあったよな?
湖がすごく綺麗だっていうのは知ってるけど……行ったことはないな、と僕は思った。
「行きたいの、支笏湖。すごく湖が綺麗なんだよ」
彼女がとても楽しそうに話すから、行ってみたいと思ってしまう。
彼女が楽しそうに話していると、こっちも笑顔になる。何より、楽しそうに話す顔がとても好きだし、そんなに楽しそうに話すところはどんなところなんだろう?どんなものなんだろう?と、興味をひかれて結局好きなことでもないのに調べてしまう。不思議なくらい、好奇心が広がる。
彼女の好きなものをまた知ることができる。そう思うと無性に嬉しい気持ちになるし、何より今まで知らなかったことを発見できたりもするから、僕としては良いことしかないんだけれど。
「そっか。そんなに、綺麗なんだね」
「うん。……ひろくんは、見たくないの?支笏湖」
「ん?うーん、まだ行ったことないけど、綺麗なんだろうなって」
僕は彼女を見て言った。
支笏湖に行こう、だなんて思ったことは今まで一度もなかった。
でも、彼女に行きたいと言われて興味を持った。行きたくないわけではないけれど、遠出することになるから、彼女のことも考えて遠出は無理だろうと思っていた。
しかし、彼女の決意は固かった。
「ひろくん、私、ひろくんと支笏湖行きたい」
彼女は、僕の手をぎゅっと握って僕の方を見た。
「ひろくん、お願い…」
彼女は目を潤ませて僕の手を更にぎゅっと握りしめた。まるで目が見えているかのように、きらきらとした目で僕を見て強請る。その、綺麗に潤んだ瞳で僕を見る。彼女が目が見えないなどという現実を一瞬にして忘れそうになるが、彼女は目が見えていない。
「仕方ないな…いいよ」
僕が溜息をつきながら言うと、彼女は満面の笑みを浮かべて、握っていた僕の手を引っ張った。
「こらこら、あまり引っ張るなよ。危ないだろ?」
「どうして?」
体勢崩すだろ?と思いながら、僕は優しく彼女を抱きしめた。
「ひろくん?」
「行こうな、絶対」
「うん、なるべく早く行きたいなあ〜」
彼女がそう甘えるように言うと、僕は彼女の肩を押しベッドに倒れ込んだ。
「こら。あんまり我儘言うと、強めのキスするよ」
「えっ、そ、それは困るよ……大人しくしてます〜」
彼女は照れながら目を背けた。
彼女はまだ、強めの…ディープキスが苦手らしい。
彼女は疲れているのか睡魔に勝てないのか、ぐっすりと寝てしまっている。
その寝顔というのが、とても可愛くて頬が緩んでしまう。
彼女は僕の肩に頭を乗せてすやすや眠っている。彼女の右手には、しっかりと杖が握られている。
ふと、窓の外へと視線を移す。
中心部からはだいぶ離れ、山の中へと入ってきた。
綺麗な青空に、照りつける太陽。
遠出するには、とても良い日和だ。
何故僕が彼女と遠出しているのかというと、彼女が外へ出たいと強く僕に求めてきたからだ。
「ひろくん、私外に出たい」
「心愛ちゃん…!本当!?よし、行こう。どこ行きたい?」
僕は、心愛ちゃんが外へ出たいと自分から言ってくれたことが、とても嬉しかった。
「支笏湖」
「支笏湖?」
うん、と彼女は頷いた。
支笏湖って確か、千歳にあったよな?
湖がすごく綺麗だっていうのは知ってるけど……行ったことはないな、と僕は思った。
「行きたいの、支笏湖。すごく湖が綺麗なんだよ」
彼女がとても楽しそうに話すから、行ってみたいと思ってしまう。
彼女が楽しそうに話していると、こっちも笑顔になる。何より、楽しそうに話す顔がとても好きだし、そんなに楽しそうに話すところはどんなところなんだろう?どんなものなんだろう?と、興味をひかれて結局好きなことでもないのに調べてしまう。不思議なくらい、好奇心が広がる。
彼女の好きなものをまた知ることができる。そう思うと無性に嬉しい気持ちになるし、何より今まで知らなかったことを発見できたりもするから、僕としては良いことしかないんだけれど。
「そっか。そんなに、綺麗なんだね」
「うん。……ひろくんは、見たくないの?支笏湖」
「ん?うーん、まだ行ったことないけど、綺麗なんだろうなって」
僕は彼女を見て言った。
支笏湖に行こう、だなんて思ったことは今まで一度もなかった。
でも、彼女に行きたいと言われて興味を持った。行きたくないわけではないけれど、遠出することになるから、彼女のことも考えて遠出は無理だろうと思っていた。
しかし、彼女の決意は固かった。
「ひろくん、私、ひろくんと支笏湖行きたい」
彼女は、僕の手をぎゅっと握って僕の方を見た。
「ひろくん、お願い…」
彼女は目を潤ませて僕の手を更にぎゅっと握りしめた。まるで目が見えているかのように、きらきらとした目で僕を見て強請る。その、綺麗に潤んだ瞳で僕を見る。彼女が目が見えないなどという現実を一瞬にして忘れそうになるが、彼女は目が見えていない。
「仕方ないな…いいよ」
僕が溜息をつきながら言うと、彼女は満面の笑みを浮かべて、握っていた僕の手を引っ張った。
「こらこら、あまり引っ張るなよ。危ないだろ?」
「どうして?」
体勢崩すだろ?と思いながら、僕は優しく彼女を抱きしめた。
「ひろくん?」
「行こうな、絶対」
「うん、なるべく早く行きたいなあ〜」
彼女がそう甘えるように言うと、僕は彼女の肩を押しベッドに倒れ込んだ。
「こら。あんまり我儘言うと、強めのキスするよ」
「えっ、そ、それは困るよ……大人しくしてます〜」
彼女は照れながら目を背けた。
彼女はまだ、強めの…ディープキスが苦手らしい。