希望の夢路
周りから、拍手が聞こえてきた。
きょろきょろと辺りを見回すと、観光客らしき人やその場にいあわせた人達が僕と彼女のプロポーズの場面を見ていたらしく、祝福してくれた。
「ありがとうございます!」
僕がお辞儀をして頭を下げると、彼女も慌ててお辞儀をしてお礼を言った。
「心愛ちゃん、おめでとう!」
聞き覚えのある声が、近づいてきた。
「あっ、ほのちゃん!」
彼女はにこにこしながら、保乃果に駆け寄った。
「ほのちゃん、あのねっ!わたし、見えるようになったの、目が!」
「えっ、本当!?わあ、良かったあ〜!!」
保乃果は、彼女と抱き合った。
なんだよなんだよ、将来の夫を差し置いて、保乃果と抱き合うなんて。
せっかく彼女と良いところだったのに、保乃果はこうやっていつも邪魔をする。絶対、悪意しかないな。
そう思って、きりっと保乃果を睨みつけると、保乃果が僕の視線に気づいた。
「心愛ちゃん、ほら。そろそろ私から離れて博人と抱き合わないと、将来の旦那様が嫉妬してるわよ〜」
保乃果は人の気持ちを読むのが上手い。特に、僕の気持ちに関しては。
「えっ?どうしてですか?だって、私ひろくんのものなんだし……嫉妬だなんて」
「いつまでも抱き合うな!って言われそうね。博人は心愛ちゃんに触れたくて仕方ないのよ」
保乃果がちらりと僕を見た。
『絶対に心愛ちゃんを幸せにしないと許さない』
そう、保乃果の顔に書いてあった。
もちろん、そうするさー
僕は言葉にする代わりに、保乃果を見て深く頷いた。
「そんなに嫉妬深いと嫌われるぞ、将来の旦那様」
ん?この声は…あいつか?
その声の主は、保乃果の後ろにいた。
「智也…!智也も来てたの?」
彼女は智也に駆け寄ろうとした。
が、そんなことはさせない。
智也に駆け寄ろうとした彼女を、後ろからぎゅーっと抱きしめた。
「行くな。あいつのところへは行くな。誰にも譲る気は無いが、どこにも行くなよ。あいつのところに行かないでくれ、頼むから」
僕は、まだ不安なんだろう。
彼女がプロポーズを受け入れてくれた。しかし、長い時間を一緒に過ごした智也との仲は、簡単には引き裂くことはできない。いや、そんなことはできないんだ。たとえ、友達だとわかっていても、どこかで不安になってしまって。智也は、彼女のことをまだ愛している。だからこそ、智也に奪われてしまったら、という不安が付きまとうんだ。そんなことはないとは思うが、智也を見てすぐに笑顔になり駆け寄る彼女を見ると、とても切なくなって胸が苦しくなって、幸せの絶頂から暗闇に叩きつけられるような、そんな感覚に陥るんだ。
きょろきょろと辺りを見回すと、観光客らしき人やその場にいあわせた人達が僕と彼女のプロポーズの場面を見ていたらしく、祝福してくれた。
「ありがとうございます!」
僕がお辞儀をして頭を下げると、彼女も慌ててお辞儀をしてお礼を言った。
「心愛ちゃん、おめでとう!」
聞き覚えのある声が、近づいてきた。
「あっ、ほのちゃん!」
彼女はにこにこしながら、保乃果に駆け寄った。
「ほのちゃん、あのねっ!わたし、見えるようになったの、目が!」
「えっ、本当!?わあ、良かったあ〜!!」
保乃果は、彼女と抱き合った。
なんだよなんだよ、将来の夫を差し置いて、保乃果と抱き合うなんて。
せっかく彼女と良いところだったのに、保乃果はこうやっていつも邪魔をする。絶対、悪意しかないな。
そう思って、きりっと保乃果を睨みつけると、保乃果が僕の視線に気づいた。
「心愛ちゃん、ほら。そろそろ私から離れて博人と抱き合わないと、将来の旦那様が嫉妬してるわよ〜」
保乃果は人の気持ちを読むのが上手い。特に、僕の気持ちに関しては。
「えっ?どうしてですか?だって、私ひろくんのものなんだし……嫉妬だなんて」
「いつまでも抱き合うな!って言われそうね。博人は心愛ちゃんに触れたくて仕方ないのよ」
保乃果がちらりと僕を見た。
『絶対に心愛ちゃんを幸せにしないと許さない』
そう、保乃果の顔に書いてあった。
もちろん、そうするさー
僕は言葉にする代わりに、保乃果を見て深く頷いた。
「そんなに嫉妬深いと嫌われるぞ、将来の旦那様」
ん?この声は…あいつか?
その声の主は、保乃果の後ろにいた。
「智也…!智也も来てたの?」
彼女は智也に駆け寄ろうとした。
が、そんなことはさせない。
智也に駆け寄ろうとした彼女を、後ろからぎゅーっと抱きしめた。
「行くな。あいつのところへは行くな。誰にも譲る気は無いが、どこにも行くなよ。あいつのところに行かないでくれ、頼むから」
僕は、まだ不安なんだろう。
彼女がプロポーズを受け入れてくれた。しかし、長い時間を一緒に過ごした智也との仲は、簡単には引き裂くことはできない。いや、そんなことはできないんだ。たとえ、友達だとわかっていても、どこかで不安になってしまって。智也は、彼女のことをまだ愛している。だからこそ、智也に奪われてしまったら、という不安が付きまとうんだ。そんなことはないとは思うが、智也を見てすぐに笑顔になり駆け寄る彼女を見ると、とても切なくなって胸が苦しくなって、幸せの絶頂から暗闇に叩きつけられるような、そんな感覚に陥るんだ。