希望の夢路
彼女の笑顔を見た瞬間、何かが変わった。この時、何かが変わったんだ。
僕の心に、ざわめきが起こった。
この時はそれが何なのかわからなかったが、今ならはっきりとわかる。
これは、『恋』なのだとー。

人生が、360度変わった。今まで見ていた世界が、更に鮮やかさを増した。
そんな不思議な感覚が僕を支配する。彼女は、僕を見てぺこりと頭を下げた。
そして本を大事そうに両手に抱え、読書スペースへと嬉しそうに駆けていく。
まるで、空を自由に飛び回る妖精のように。
―というのは、言い過ぎか。
僕は、星座・宇宙の本棚の本を眺めた。宇宙の本を読もうか、どうしようかー
そう思っていたとき、ふと目の前に視線を向けると、
読書スペースで本を読む先ほどの彼女がいた。
彼女は、目をきらきらさせながら『星空風景』を読んでいた。

―気になる。何故だか気になってついつい見てしまう。
目が、離せない。何故か引きつけられてしまう、彼女に。
いやいや、僕は何を考えているんだ。
そもそもここに来た目的は読書をするためで、出会いの場では決してない。
とにかく、本を読むことに集中しよう。
限りある時間を無駄にするわけにはいかない。
僕は本を手に取り、読書スペースへと向かった。
彼女が本を読む姿が目に入る。
どこに座ろうー考える間もなく、いや、無意識に僕は、彼女の隣の柔らかな椅子に腰をそっと下ろした。
僕は彼女を盗み見た。彼女は本に夢中で、僕が隣に座っていることに気付いていなかった。
彼女は目を輝かせながら、じっくりと本を眺めていた。
ページを捲る手はゆっくりで、まるで一ページ一ページに載っている写真を
目に焼き付けているかのようだった。
















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