希望の夢路
勿論、彼女は、無意識に。
どうしてこうも僕の心を掴んで離さないのだろう。
そこがまた、彼女の魅力なのだけれど。
僕は彼女の肩に触れた。彼女は驚いて僕を見る。
「博人、さん…?」
不思議そうに僕を見つめる彼女の両肩を、僕は優しく、しっかりと撫でた。
「んっ、博人さん、やだっ…」
彼女は驚いて僕の手を引き離そうと、僕の手を握った。
こうでもしないと、なかなか彼女は僕の手を自分から握ってはくれない。
―残念ながら。僕から握らないと、いけないんだ。
彼女は自分から、握ってはくれない。彼女はなかなか、一歩を踏み出せない。
僕は黙って、彼女の両肩を撫でる。
「博人さん…お願いっ…」
彼女は潤んだ目で僕に訴える。
僕は、手を止めない。
彼女は戸惑っていた。
彼女が手を握ってくれる―たとえそれが、僕が肩を必要以上に撫でる行為に対して
僕の手を引き離そうとした結果であっても、僕は嬉しい。
彼女に手を放してほしくないという気持ちだけが、
僕を彼女の肩を撫でるという行為へと突き動かした。
「博人さん…お願い…そんなに…撫でないで…」
彼女は戸惑っていたが、次第に僕の手の感触に慣れたのか、嫌だとは言わなくなっていた。
「ん?じゃあ、やめる?撫でるの」
僕は彼女を見た。
彼女は、今にもとろけそうな目をしていた。
「…っ、い、いやです…やめないで…」
―本当に、僕を乱すのが上手いな。
どこまで僕を乱すつもりなんだ。
そんな可愛い顔されたら、僕は止まらなくなってしまう。
クールで余裕な僕では、いられなくなる。
「嫌だって言わなかった?」
「言いました、言いましたけど…」
「嫌なんだろ?」
僕は、素直になれないことがある。本当に、馬鹿だよな。自分でも呆れる。
「嫌なら、もうしないよ」
彼女は、泣きそうになっていた。
けれど、これは彼女に甘えてもらうためのいわゆる、駆け引きのようなもの。
彼女に、甘えてほしい。
彼女が甘えてくれるのなら、意地悪さえもしてしまう。
でも、その僕の悪癖が、恋の障害にもなり得るー
「博人さんっ…!」
頭の中であれこれ考えていると、柔らかな声が僕を呼んだ。
どうしてこうも僕の心を掴んで離さないのだろう。
そこがまた、彼女の魅力なのだけれど。
僕は彼女の肩に触れた。彼女は驚いて僕を見る。
「博人、さん…?」
不思議そうに僕を見つめる彼女の両肩を、僕は優しく、しっかりと撫でた。
「んっ、博人さん、やだっ…」
彼女は驚いて僕の手を引き離そうと、僕の手を握った。
こうでもしないと、なかなか彼女は僕の手を自分から握ってはくれない。
―残念ながら。僕から握らないと、いけないんだ。
彼女は自分から、握ってはくれない。彼女はなかなか、一歩を踏み出せない。
僕は黙って、彼女の両肩を撫でる。
「博人さん…お願いっ…」
彼女は潤んだ目で僕に訴える。
僕は、手を止めない。
彼女は戸惑っていた。
彼女が手を握ってくれる―たとえそれが、僕が肩を必要以上に撫でる行為に対して
僕の手を引き離そうとした結果であっても、僕は嬉しい。
彼女に手を放してほしくないという気持ちだけが、
僕を彼女の肩を撫でるという行為へと突き動かした。
「博人さん…お願い…そんなに…撫でないで…」
彼女は戸惑っていたが、次第に僕の手の感触に慣れたのか、嫌だとは言わなくなっていた。
「ん?じゃあ、やめる?撫でるの」
僕は彼女を見た。
彼女は、今にもとろけそうな目をしていた。
「…っ、い、いやです…やめないで…」
―本当に、僕を乱すのが上手いな。
どこまで僕を乱すつもりなんだ。
そんな可愛い顔されたら、僕は止まらなくなってしまう。
クールで余裕な僕では、いられなくなる。
「嫌だって言わなかった?」
「言いました、言いましたけど…」
「嫌なんだろ?」
僕は、素直になれないことがある。本当に、馬鹿だよな。自分でも呆れる。
「嫌なら、もうしないよ」
彼女は、泣きそうになっていた。
けれど、これは彼女に甘えてもらうためのいわゆる、駆け引きのようなもの。
彼女に、甘えてほしい。
彼女が甘えてくれるのなら、意地悪さえもしてしまう。
でも、その僕の悪癖が、恋の障害にもなり得るー
「博人さんっ…!」
頭の中であれこれ考えていると、柔らかな声が僕を呼んだ。