希望の夢路
「例えば」
私の言葉に、二人は耳を傾けた。
「ある人が病気になってしまったとする」
真剣に私の言葉を聞く二人。
「その人の病気は、不治の病だったことがわかった」
「不治の病って、例えば?」
楊香が首を傾げた。
「例えば…癌とか肺炎とか、」
「ふーん、で?」
「医者も家族も本人には不治の病であることを告知しなかった」
「よくあるパターンね」
魁利が言った。
「本人に伝えないでくれと家族が医者に頼み込んで、結局本人に真実が伝えられることは無かった。」
「よくあることじゃん」
楊香は腕を組んだ。
「その人は、どうなったと思う?」
「うーん、何も知らないってことだから、闘病生活は辛いだろうけど、それはそれで良かったんじゃない?」
魁利は頬杖をついた。
「私もそう思う。で、どうなったの、その人」
「その人は、…癌だったとしようか。
その人は自分は癌だろうとらうすうす気づいてはいた。でも、家族も医者も癌だとは決して言わなかったし、その事実を頑なに否定したから、かえって苦しんだ。なぜ本当のことを言ってくれないのかと」
「うーん、」
魁利は考え込んだ。
「はっきりいってくれた方がましだ!
ちゃんと言ってくれよ、癌なんだろ!って」
「でも、ショックを受けるよりは…」
魁利は私を見た。
「そうかもしれないけど、その人は
真実を求めていた。知りたがっていた。その人の意思に反した行動をした家族は、その人を思ってしたことなんだろうけど、かえって苦しめる結果になってしまったんだよね。最期まで」
「…真実を、求めたがってた」
魁利は私の言葉を繰り返した。
「人生の明暗は、真実を知るか知らないかで全く変わってくる」
「何よ、それ」
楊香が冷めた目で聞き返した。
私の言葉に、二人は耳を傾けた。
「ある人が病気になってしまったとする」
真剣に私の言葉を聞く二人。
「その人の病気は、不治の病だったことがわかった」
「不治の病って、例えば?」
楊香が首を傾げた。
「例えば…癌とか肺炎とか、」
「ふーん、で?」
「医者も家族も本人には不治の病であることを告知しなかった」
「よくあるパターンね」
魁利が言った。
「本人に伝えないでくれと家族が医者に頼み込んで、結局本人に真実が伝えられることは無かった。」
「よくあることじゃん」
楊香は腕を組んだ。
「その人は、どうなったと思う?」
「うーん、何も知らないってことだから、闘病生活は辛いだろうけど、それはそれで良かったんじゃない?」
魁利は頬杖をついた。
「私もそう思う。で、どうなったの、その人」
「その人は、…癌だったとしようか。
その人は自分は癌だろうとらうすうす気づいてはいた。でも、家族も医者も癌だとは決して言わなかったし、その事実を頑なに否定したから、かえって苦しんだ。なぜ本当のことを言ってくれないのかと」
「うーん、」
魁利は考え込んだ。
「はっきりいってくれた方がましだ!
ちゃんと言ってくれよ、癌なんだろ!って」
「でも、ショックを受けるよりは…」
魁利は私を見た。
「そうかもしれないけど、その人は
真実を求めていた。知りたがっていた。その人の意思に反した行動をした家族は、その人を思ってしたことなんだろうけど、かえって苦しめる結果になってしまったんだよね。最期まで」
「…真実を、求めたがってた」
魁利は私の言葉を繰り返した。
「人生の明暗は、真実を知るか知らないかで全く変わってくる」
「何よ、それ」
楊香が冷めた目で聞き返した。