希望の夢路
「ふふっ、博人は私の美貌には勝てないみたいよ?どう、心愛」
楊香は自信満々に彼女に言った。
「うん、そうね」
「へ?」
彼女がすんなり受け入れたので、楊香は驚いて目をぱちくりさせていた。
「なによ。今日はやけに素直じゃない。なんか不気味」
「いつも、こんなんだけど」
「それにしても、元気ないよ心愛ちゃん」
魁利は心配そうに彼女を見た。
僕と楊香が口付けをしているところを見てしまったから、きっとショックは大きいのだろう。楊香の我儘に付き合っていただけなのに、何故か罪悪感が付きまとう。額にすれば良かったかな、こんな気まずくなるなら…。
彼女は深く溜息をついてから、ゆっくりと立ち上がった。
「心愛ちゃん、どこ行くの?」
僕は彼女のすぐ後ろに立った。
「もう、帰るね」
「えっ?だってまだ…」
「まだ、寝足りないし眠いから。
ごめん、ひろくん」
「…それなら、僕の家で寝ればいいよ」
「ううん、大丈夫。ありがとう。
でも、自分の家の方がリラックスできるし…」
「でも」
「ごめんなさい」
眉を下げて困ったように言う彼女は、僕と距離を取りたいように見えた。
こうと決めたらなかなか答えを覆さない彼女。彼女が納得するまで、一人にさせてあげよう。
「わかった。でも、たまにでいいから連絡して。心配だから」
「うん、ありがとう」
歩き出すかと思いきや、何かを思い出したように彼女は僕を振り返った。
「魁利と楊香は、ひろくんと遊んでていいよ。じゃあ、」
そう言って彼女は去っていった。
ゆっくりと小さくなっていく彼女の背中。もっと一緒にいたかったという思いが僕の胸を苦しめる。
病魔にやきもち妬いてるのかな、と
思ったりもしたが、実際のところよくわからない。
僕は魁利と楊香と三人で再び緑の野原へやってきた。
風が吹き抜ける。心地よい風。
でも、ここには大好きな心愛ちゃんはいない。
彼女の姿は、どこにも見当たらない。
彼女の切なげな瞳と寂しそうな背中を思い返すと、胸がすごく苦しくなる。
これは何かが起こる前触れだろうか。そうならないようにと願わずにはいられなかった。
楊香は自信満々に彼女に言った。
「うん、そうね」
「へ?」
彼女がすんなり受け入れたので、楊香は驚いて目をぱちくりさせていた。
「なによ。今日はやけに素直じゃない。なんか不気味」
「いつも、こんなんだけど」
「それにしても、元気ないよ心愛ちゃん」
魁利は心配そうに彼女を見た。
僕と楊香が口付けをしているところを見てしまったから、きっとショックは大きいのだろう。楊香の我儘に付き合っていただけなのに、何故か罪悪感が付きまとう。額にすれば良かったかな、こんな気まずくなるなら…。
彼女は深く溜息をついてから、ゆっくりと立ち上がった。
「心愛ちゃん、どこ行くの?」
僕は彼女のすぐ後ろに立った。
「もう、帰るね」
「えっ?だってまだ…」
「まだ、寝足りないし眠いから。
ごめん、ひろくん」
「…それなら、僕の家で寝ればいいよ」
「ううん、大丈夫。ありがとう。
でも、自分の家の方がリラックスできるし…」
「でも」
「ごめんなさい」
眉を下げて困ったように言う彼女は、僕と距離を取りたいように見えた。
こうと決めたらなかなか答えを覆さない彼女。彼女が納得するまで、一人にさせてあげよう。
「わかった。でも、たまにでいいから連絡して。心配だから」
「うん、ありがとう」
歩き出すかと思いきや、何かを思い出したように彼女は僕を振り返った。
「魁利と楊香は、ひろくんと遊んでていいよ。じゃあ、」
そう言って彼女は去っていった。
ゆっくりと小さくなっていく彼女の背中。もっと一緒にいたかったという思いが僕の胸を苦しめる。
病魔にやきもち妬いてるのかな、と
思ったりもしたが、実際のところよくわからない。
僕は魁利と楊香と三人で再び緑の野原へやってきた。
風が吹き抜ける。心地よい風。
でも、ここには大好きな心愛ちゃんはいない。
彼女の姿は、どこにも見当たらない。
彼女の切なげな瞳と寂しそうな背中を思い返すと、胸がすごく苦しくなる。
これは何かが起こる前触れだろうか。そうならないようにと願わずにはいられなかった。