希望の夢路
「遥香さん、私、聞きたいことがあるんです」
「何ですか?」
「こんなに素敵な遥香さんを、博人さんはどうして離してしまったんだろうって」
「心愛さん」
「はい」
私は、遥香さんを見た。
とても美しいその顔を、私はなかなか見ることができなかった。
自分が、惨めになってくるから。悲しくなってくるから。
「自信持ってください。貴女は、ひろくんの彼女なんですから」
「でも…」
「まあ、色々あったんですよ」
「えっ?色々って…」
「色々は、色々」
遥香さんは笑った。
「教えてくださらないんですね」
「そういうわけじゃないんですよ。ただ…」
「ごめんなさい、余計なこと聞いて…」
「心愛さん…!」
私が部屋を出ようとしたとき、突然ドアが開いて彼が入ってきた。
まさに、板挟み。
「おっ、心愛ちゃん。ほら、買ってきたよ、お茶」
彼はそう言って嬉しそうに私に微笑む。
「ほら、心愛さん」
いつの間にか遥香さんは私の背後にいて、私の背中を優しく押した。
「えっ…?」
驚く間もなく、何も考える余裕もないまま、私は一歩前へと出た。
彼が目の前にいる。
彼は私をじっと見ている。
私が胸に飛び込むのを、じっと待っているようにも見えた。
しかし、足が動かない。先へ、進めない。
立ち尽くす私を見て黙っていた彼が、私の手を引っ張り優しく抱き留めた。
「ひろと、さん…」
「もう、こんなんじゃ、いつも僕が君を甘やかしてしまうじゃないか。困ったな」
彼は笑った。
「心愛さん、気分少し良くなったみたいよ。良かったね、ひろくん」
「本当?心愛ちゃん」
彼は私を見て言った。
「はい。ごめんなさい、心配かけて」
「大丈夫だよ、そんなこと気にしなくて。ああ、良かった~」
彼が私の髪を優しく撫でる。
嬉しい。とても嬉しい。けれど、よくわからない。
彼がこんな私を、好きになった理由が。
だって私は、遥香さんのような健康な体じゃない。
か弱い、という言葉も似合わない。
虚弱体質、という方が合っている。
そんな私をーそれも病気の、難病の私を好きになる理由なんて、どこにもない。あるわけがない。
健康で、可愛くて性格の良い娘なんて、探せばどこにでもいる。
それなのに彼はー
「心愛ちゃん、どうした?お茶飲もうよ」
私を選んだ。
「そうですね。喉乾いちゃった」
彼を心配させまいと、私は普段通りに振る舞う。
―彼は本当に、私のことを愛しているのだろうか。
自分に自信が持てない。それに、最愛の彼を信じることもできない。
私、一体、どうしちゃったんだろう。
「おいしい?」
彼が、ごくごくとお茶を飲む私を見て言った。
「はい。すごく」
私は頷いた。
「良かった」
「何ですか?」
「こんなに素敵な遥香さんを、博人さんはどうして離してしまったんだろうって」
「心愛さん」
「はい」
私は、遥香さんを見た。
とても美しいその顔を、私はなかなか見ることができなかった。
自分が、惨めになってくるから。悲しくなってくるから。
「自信持ってください。貴女は、ひろくんの彼女なんですから」
「でも…」
「まあ、色々あったんですよ」
「えっ?色々って…」
「色々は、色々」
遥香さんは笑った。
「教えてくださらないんですね」
「そういうわけじゃないんですよ。ただ…」
「ごめんなさい、余計なこと聞いて…」
「心愛さん…!」
私が部屋を出ようとしたとき、突然ドアが開いて彼が入ってきた。
まさに、板挟み。
「おっ、心愛ちゃん。ほら、買ってきたよ、お茶」
彼はそう言って嬉しそうに私に微笑む。
「ほら、心愛さん」
いつの間にか遥香さんは私の背後にいて、私の背中を優しく押した。
「えっ…?」
驚く間もなく、何も考える余裕もないまま、私は一歩前へと出た。
彼が目の前にいる。
彼は私をじっと見ている。
私が胸に飛び込むのを、じっと待っているようにも見えた。
しかし、足が動かない。先へ、進めない。
立ち尽くす私を見て黙っていた彼が、私の手を引っ張り優しく抱き留めた。
「ひろと、さん…」
「もう、こんなんじゃ、いつも僕が君を甘やかしてしまうじゃないか。困ったな」
彼は笑った。
「心愛さん、気分少し良くなったみたいよ。良かったね、ひろくん」
「本当?心愛ちゃん」
彼は私を見て言った。
「はい。ごめんなさい、心配かけて」
「大丈夫だよ、そんなこと気にしなくて。ああ、良かった~」
彼が私の髪を優しく撫でる。
嬉しい。とても嬉しい。けれど、よくわからない。
彼がこんな私を、好きになった理由が。
だって私は、遥香さんのような健康な体じゃない。
か弱い、という言葉も似合わない。
虚弱体質、という方が合っている。
そんな私をーそれも病気の、難病の私を好きになる理由なんて、どこにもない。あるわけがない。
健康で、可愛くて性格の良い娘なんて、探せばどこにでもいる。
それなのに彼はー
「心愛ちゃん、どうした?お茶飲もうよ」
私を選んだ。
「そうですね。喉乾いちゃった」
彼を心配させまいと、私は普段通りに振る舞う。
―彼は本当に、私のことを愛しているのだろうか。
自分に自信が持てない。それに、最愛の彼を信じることもできない。
私、一体、どうしちゃったんだろう。
「おいしい?」
彼が、ごくごくとお茶を飲む私を見て言った。
「はい。すごく」
私は頷いた。
「良かった」