金平糖でうめつくして。
甘くて、ずるい。



「わぁ、可愛い~」



スーパーのお菓子売り場。 金平糖の入った小さなパックを手に、呟いた。



最近の金平糖は、こんなにカラフルなんだ。 私が小さい頃は、白ばっかりだった気がする。 ……あれ? それは、弟にオレンジ色のやつばっかり食べられちゃってたからだっけ?



あんまり思い出せない。



とにかく、金平糖なんて懐かしい。 そんな曖昧な表現がしっくりきた。



久しぶりに、買ってみようかな。



買い物かごに、ひょいといれる。



「よぉ、芹中」



ドキ、と心臓が高鳴った。



クラスメイト。 高身長イケメンで頭脳明晰。 運動神経抜群。 おまけに優しくて、笑顔は可愛い。



クラスの女子たちが、そろいにそろって黄色い歓声をあげる対象だ。



初めてみたとき、こんなハイスペックなひと、実在するんだと感心したほどに、すごいやつ。
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