金平糖でうめつくして。
「そうなんだ。 木梨は、甘いものあんまり食べないと思ってた」
木梨は王子さまみたいだから、甘いもの――主にチョコレート――が好きと、クラスの女子たちが騒いでいたことがある。
でも、スポーツ万能の木梨は、食べるものも私とは別世界のものだと思っていたから、そんなのデマだと信じていた。
「……甘いものは、好きだよ」
……やっぱり、私ひとりよりも、クラス一丸となって好みを探した方が、正当率はあがるらしい。
「じゃあ、嫌いなものは?」
「ブラックチョコレート」
……意外。 チョコレートは好きだって、みんな言っていたのに。
「ミルクチョコレートは好きなんだけど、ブラックチョコレートは、苦手かな」
「あ、そういうことかぁ」
なるほど。 甘いチョコレートは好きなのか。
バレンタインに行列ができるわけだ。