私だけの王子様
家に帰ると、テスト範囲である中学校の復習に取り掛かる。
意外とスラスラいけるもので、夕方前までには終わった。
またあの河川敷に行こう。



河川敷に行くと、私は翔琉との思い出のある、大きな桜の木の下に向かう。ここは、私と翔琉の集合場所。
ここにいれば、翔琉はよく見に来てくれた。
なぜなら翔琉の部屋の窓からこの大きな桜の木を見ることが出来て、私だとすぐ気づくからだ。
その場所に、馬場翔琉がいた。
「馬場...くん?」
するとどこかに行ってしまった。
怒らせちゃったかな。


翔琉side

なんで新崎翔琉じゃないのかって?
それは、親が離婚した。
その後、新しい父さんが来た。
だから馬場翔琉なんだ。
で、昔の家に戻ったのは、母さんと、俺だけ。
新しいその父さんは、会社を経営していて、海外にしばらく行くらしい。だから、高校になると同時に、あの家に戻った。まぁ、元々戻ろうかと話していたところ。ちょうど良かった。そして、あの日、結愛に再会出来た。
入学式のあと、また、あの河川敷の桜の木の下に行ったら、結愛が来た。合わせる顔がなくて逃げてしまった。
突然消えた人間をまだ覚えててくれたんだな。
俺には婚約者がいる。戦略結婚だ。あいつとは離れないといけない。
だから、もう少しだけ嘘をつかせてくれ。
ほんとは、不本意だ。嫌だ。
まだ馬場翔琉だと思っているのなら好都合だ。
ごめんな。結愛。

翔琉sideend
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