もう、我慢すんのやめた
「なーんだ、ただのスカした転校生じゃないんだ」
「でも分かるなー!確かに萌菜みたいな女ばっかりだったら、俺も女性恐怖症になるわ!」
「はぁ!?まじであんた覚えときなさいよ!」
萌菜とテツって、口を開けば喧嘩してるイメージだけど。私はそんな関係が少し羨ましい。
「……転校したら、絶対女とは関わらないって決めてたのに」
ボソッと不機嫌に放たれた言葉。
相変わらずしゃがんだままの佐倉くん。
そんな悲しいこと言わないで欲しい。
「じゃあ、今日から一緒に帰ろうよ」
「……お前、話聞いてた?」
「一緒に治そうよ!女性恐怖症?ほら、習うより慣れろ作戦!」
「それ絶対、使い方間違ってるだろ」
「そうと決まれば今日から佐倉くんと私、友達だから」
「人の話、聞く気ねぇだろ」
半ば無理矢理、佐倉くんの手を取って握手とばかりに握りしめれば、再び赤面した佐倉くんに
勢いよく振りほどかれた。
あ、そっか!触っちゃダメなんだ。
「ご、ごめん!でも、友達になったからには佐倉くんのピンチには絶対に駆けつけるから任せて!」
「……ったく、勝手にすれば」