もう、我慢すんのやめた
「おめでとう!そっか〜、ついにか!結局どっちから告ったわけ?」
私と佐倉が付き合うのをどこかでずっと望んでた萌菜は、すんなり私たちの関係を信じてくれた。
代わりに、「うっ」と言葉に詰まる質問が飛んでくる。
「……えっと、それは」
「俺から」
私を庇う佐倉の声に、キュッと胸が軋んだ。
”俺から”
そんな佐倉の言葉に「いいな〜!」なんてテンションダダ上がりの萌菜は、”テツ呼んでくる”と教室の中を駆けていく。
その後ろ姿に心底ホッとする。
私は嘘が得意じゃない。すぐ顔に出るから。
だから、佐倉のフォローが素直にありがたいや。
巻き込んでごめんって気持ちはあるけど、佐倉は嫌な顔ひとつしないから、それが私の心を軽くする。
私にベッと小さく舌を出して自分の席に向かった佐倉は、やっぱりずるいくらいに優しくて。
「ちょ、お前ら付き合ったってまじ!?」
「声がでかい」
萌菜に連れられてニヤニヤ登場したテツを、真顔で突っ込む佐倉に少し笑ってしまう。
「なんだよ〜!いつから芽唯のこと好きだったわけ?最初っから?それとも最近?」
「……なんでテツに教えなきゃなんねーんだよ」