もう、我慢すんのやめた
「変なやつ」
「……否めません」
「珍しいな、認めるなんて」
ククッと笑ってまた歩き出す。
そんな佐倉の隣を私も今度こそ歩き出した。
キスシーン想像して、自滅したなんて……口が裂けても言えない。
でも、佐倉ならきっと優しく触れるんだろうな……なんて、この後に及んでまだ考えてる。
「ね、ねぇ?……佐倉、さっきの話」
「あーでも」
「え?」
佐倉を見上げる。
こうして、改めて見ると佐倉って私よりずっと背が高い。
158cmの私と15cmは軽く違う佐倉に今さら驚いていた私に
「俺、優しくねぇよ」
ポツリ、佐倉の声。
「めんどーなの嫌いだし、あと人混みも」
「……うん?」
「夜は基本バイト。土日もバイトだし、基本連絡もマメじゃねぇ」
それは、知ってる。
佐倉に送ったメッセージに既読がつくのはいつも送ってからかなり経った頃。
プラス、それに返信が来たことなんて今まで何度あっただろう。
「……それでもいいなら、」
フッ、と私に視線を向ける。
恥ずかしがったり、余裕そうだったり、色んな面を持つ佐倉のこと、今も全然つかめない。