もう、我慢すんのやめた


「変なやつ」

「……否めません」

「珍しいな、認めるなんて」


ククッと笑ってまた歩き出す。
そんな佐倉の隣を私も今度こそ歩き出した。


キスシーン想像して、自滅したなんて……口が裂けても言えない。


でも、佐倉ならきっと優しく触れるんだろうな……なんて、この後に及んでまだ考えてる。


「ね、ねぇ?……佐倉、さっきの話」

「あーでも」

「え?」



佐倉を見上げる。
こうして、改めて見ると佐倉って私よりずっと背が高い。


158cmの私と15cmは軽く違う佐倉に今さら驚いていた私に


「俺、優しくねぇよ」


ポツリ、佐倉の声。


「めんどーなの嫌いだし、あと人混みも」

「……うん?」

「夜は基本バイト。土日もバイトだし、基本連絡もマメじゃねぇ」


それは、知ってる。
佐倉に送ったメッセージに既読がつくのはいつも送ってからかなり経った頃。

プラス、それに返信が来たことなんて今まで何度あっただろう。


「……それでもいいなら、」


フッ、と私に視線を向ける。
恥ずかしがったり、余裕そうだったり、色んな面を持つ佐倉のこと、今も全然つかめない。
< 118 / 233 >

この作品をシェア

pagetop