もう、我慢すんのやめた
「……さ、佐倉は当日やっぱりたこ焼き?」
「ん。テツの推薦のせいで、このバカ暑い中、外でたこ焼き焼くことになった」
タコパのとき、焼くの上手かったもんな。
そりゃもう初めてとは思えないくらい……。
元々、基本なんでも出来ちゃう器用マンなんだろうけど。私とは正反対でため息が出ちゃう。
「そっか、萌菜と買いに行くね」
「来なくていい。……芽唯、休憩いつ?」
私のことをサラッと名前で呼ぶのが安定した佐倉は、最初こそ赤くなってたけど、今じゃすっかり澄まし顔。
全部、そう。
目を合わせるだけで赤くなってたのに、手を繋ぐだけで赤くなってたのに、名前を呼ぶだけで赤くなってたのに。
佐倉が私に対して赤くなることが減るたびに、どこか寂しい気持ちになるのはどうしてだろう。
「あ、えっと……私は午後から!」
「なら俺も午後からにしてもらう」
「え……?」
「……俺、一緒に回るつもりだったんだけど。芽唯、もしかしてもう安藤たちと約束した?」
萌菜とは約束してない。
ってより、萌菜の休憩が午前中に決まったせいで一緒には回れそうにない。