もう、我慢すんのやめた



そんなことを思ったあと、ふと考える。


”やだな”



今、無意識のうちに確かにそう思った。
佐倉が私の知らないところで他の子からモテてたら、嫌だなって。


それは、今思い返してみてもやっぱり同じで。
佐倉には私だけ見てて欲しい……、佐倉のこと独り占めしたい


んそんな感情が私の中に渦巻いてる。



……自分でも初めての気持ちに戸惑う。
弥一の時は、ヤキモチなんて知らなかった。


ずっと弥一にとっての1番は自分だって思って疑わなかったから。


ある日突然、それが崩されて
感じたのはヤキモチなんかじゃなく、絶望感。


……どうしようもない悔しさでいっぱいだった。






「芽唯?」

「……あ、ごめん。ボーッとしてた」



───コツン



ずっと片手に持ったままだった、飲みかけのペットボトルでかる〜く頭を小突かれて


ペットボトルが頭に当たる前から衝撃に構えていた私は、触れた瞬間「いだっ」と顔をしかめる。




「嘘つけ、そんな痛くねぇだろ」


確かに、そんなに痛くなかったけど。


「な、なんで叩くの?ひどい」
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