もう、我慢すんのやめた
確かに、いつも何かと比べちゃう。
弥一を好きな自分と、佐倉を好きになり始めてる自分。
弥一の時とは、何もかもが違う。
だけどそれはぜんぶ良い意味で、だ。
思い出してるってよりは、比べてる。それでそのたび、改めて佐倉の良さに気付かされる。
ただ、それだけ。
私の中で、どんどん弥一が薄まる。
それは他でもない佐倉のおかげだし、もっともっと佐倉でいっぱいにして欲しいと思ってる。
「今、ボーッとしてたのは……佐倉のこと考えてたから」
「……は?」
「佐倉の彼女になれて、私幸せかも」
「……っ、なんだよ”かも”って」
「そこは言いきれよ」なんて言う佐倉の顔はほんのり赤い。多分、自分のことを考えてたなんて夢にも思ってなかったんだろうなって思う。
……だとしたら、佐倉も。
私が弥一のことを思い出してたって勘違いしてて、ヤキモチ妬いてくれてたのかな?
……そうだったら、いいのに。
佐倉も少しずつ、本当に私のことを好きになってくれたらいいのに。
なんてのは、欲張りかな。