もう、我慢すんのやめた
……私の中の弥一が消えて、佐倉でいっぱいになったその時は、ちゃんと今の関係にケジメをつけて佐倉にバイバイしようって思ってる。
ずっとズルズル甘えるわけにはいかないし。
私を好きじゃない佐倉と付き合ってるのも、しんどいって思うかもしれない。
いつもいつも結局は自分のことばかりだけど、佐倉との関係をフラットにして。そこからまた片想いを始めるのも悪くないよね。
「佐倉く〜ん!打ち合わせするって!」
教室の入口。
佐倉を呼ぶ甘ったるい声。
「あー、今行く」
佐倉は最近、私や萌菜以外の女子とも少しずつ話せるようになった。
早くみんなと馴染んで、女性恐怖症なんて治ればいいと思ってたのに、今は素直に喜べない自分がいて。
母心とか言ってたあの頃が懐かしい。
今はどう頑張っても、佐倉の彼女としてすぐにヤキモチがついてくる。
佐倉と付き合ってからの私は、うんっと心が狭くなっちゃったのかもしれない。
「打ち合わせって?」
「たこ焼き組のやつ。休憩、午後勝ち取ってくる」
くしゃくしゃと私の髪を乱して、優しく笑った佐倉の手を「行かないで」と引き止めたい衝動を無理やり封じ込めて
「うん、行ってらっしゃい」
私も笑顔で手を振った。