もう、我慢すんのやめた


かと思えば、佐倉の指が私の指と絡んで
ギュッと強く握り直される。


もしかしたら佐倉は、女性恐怖症なんて克服しちゃったのかもしれない。


だって、おかしいよ。


こんなにサラッと私のことドキドキさせて。
なのに、恥ずかしいのは自分だけみたいに顔を赤くする。


私の方がずっとずっと、
もっともっと恥ずかしいのに。

ドキドキしすぎて、自分が自分じゃないみたい。



「も、もしかして女性恐怖症、治った?」

「んなわけねーだろ」

「だよね、そう簡単には治らないよね……」


分かりきってることを緊張のあまりわざわざ口にする。


だって、今までこんな繋ぎ方したことない。
指と指が絡んで、普通に繋ぐよりずっと佐倉の熱を感じる。


「当たり前だろ、頑張ってんだっつーの。まだ顔赤くなるの治んねぇし、まじ最悪」



「カッコつかねぇ」なんて項垂れる佐倉に思うのは、いつだって佐倉はかっこいいよってことと

そんなところも、佐倉の魅力の1つだよってこと。
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