もう、我慢すんのやめた

友達になって知った、意外に情に熱いところ。


けっこう、頼りになるところ。

不器用だけど、優しいところ。



それから───。





「好きだ、芽唯」

「……っ……！」




そんな真剣な顔も出来るんだ、ってことも。


まさか、って耳を疑った。
佐倉はただ、私のワガママに付き合ってくれてるんだって思ってた。


弥一から抜け出すために、協力してくれてるんだって。



だって女性恐怖症なんだよ？
過去に、すごいトラウマを抱えてるだよ？


……そんな佐倉が、そのトラウマを乗りこえて私を好きだって言ってくれるなら、きっと、今の私にとってそれ以上嬉しいことってない。



「芽唯がアイツを好きだって分かってる。……すぐに忘れられねぇのも、覚悟してる」


違う。

違うよ、佐倉。



「芽唯を困らせるくらいなら諦めようって思ったりもした。……でも、いつか俺のことだけ見て欲しいって、どんな形でも芽唯のそばにいたいって……。芽唯のことだけは、どんなに頑張っても全然諦めつかねぇよ」




聞いたことないくらい弱々しい佐倉の声。


私が弥一を好きだって勘違いしたまま、1人でずっと色々悩んでくれてたんだなって思うと


胸が張り裂けそうになった。