もう、我慢すんのやめた


今のうちに素直に言った方がいいのかな。


これから、弥一に会いに行くこと。
ちゃんと話をして、ケジメをつけるから待ってて欲しいってこと。


そしたら、佐倉も安心して待っててくれる?
それとも……弥一に会いに行くこと止めてくれるかな。


「何かあったらすぐ連絡しろ。何時になってもいい。……芽唯から家に帰ったって連絡来るまで起きて待ってる」



そう言って、また優しく私の頭を撫でる。
そんな佐倉に、ギュッと胸が切なくなった。


やっぱり、佐倉は私のことなんかお見通しで、反対に、私は佐倉のことが全然読めないから悔しい。


いつも予想外の言葉で私をドキドキさせるんだもん。いつか絶対、現行犯逮捕してやる。


「ありがと。……なるべく早く帰るね」

「ん、遅くなるようなら連絡くれれば迎えに行くし」



そうだ。
佐倉はこういうやつだった。


どこまでも優しくて、お人好しで、真っ直ぐだけど不器用で。……でも、不器用なところがまた母性本能くすぐるんだけど。


ちゃんと弥一との関係にケジメをつけて、佐倉の胸の中に胸を張って飛び込むから。


待っててね、佐倉。
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