もう、我慢すんのやめた
「……ごめん、弥一。足の骨折がね、」
「間に合わないって言ってた?夏の大会」
分かってる、みたいな顔で。
別に気にすんなよ、ってくらいにサラッと。
澄ました顔で告げられたこっちの方が、胸にグッと切ないものが込み上げてくる。
無理してるのなんてバレバレなのに、わざとらしく明るく振る舞う弥一に、気付いてないフリをした方がいいのかと迷ってしまう。
だけど、きっと弥一は今。
すごいショックなはずだから。
体のダメージは代わってあげられないけど、せめて心のダメージはそばにいて、私がちゃんと支えてあげなくちゃいけない気がした。
「うん。全治2ヶ月で、それから少しリハビリも必要だって言ってた」
「……そっか。最後の大会なのに、あいつら俺がいなくて大丈夫かなー」
「弥一……。本当に、ごめん。謝っても時間は戻らないことも、弥一のケガが治らないことも分かってるけど……本当にごめっ、」
不意に手を強く引かれて、謝罪の言葉も言い終わらないまま。
気づけば、弥一の切なげな瞳がすぐ目の前にあって息を呑む。
一瞬の逃げる隙さえ与えない弥一の手が、私の後頭部に添えられたすぐあとに