もう、我慢すんのやめた

「大丈夫っす。軽く当たっただけなんで」

「……そっか。良かった!本当にごめんな」


佐倉に深々と頭を下げる弥一は、まだ私に気づいてない。


それにしても軽く当たっただけ、なんて嘘ばっかり。背中、痛いんでしょうが。


「佐倉、保健室寄ってから帰ろう?腫れてるかも」

「大丈夫だっつーの」

「でも……!」


少なからず私のせいでこうなったのに。
心配するなってのは無理がある。

せめて、湿布くらい貼らせて欲しい。


あ、でも佐倉の場合は女子に裸なんて見せたら、また真っ赤になるのかな。


「……芽唯?」

「っ、」


そんなこと考えてたら、弥一の声が私を呼んだ。


「やっぱり、芽唯だ。なんか久しぶりだな」


変わらない、あの頃のままの弥一。
ニッと笑う顔も、私を呼ぶ声も、全部あの頃のまま。


「……うん、久しぶり」

「もしかして、芽唯の彼氏?」


チラッと佐倉に視線を向けた弥一に、小さく首を振って違うと答える。
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