もう、我慢すんのやめた
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学校に着いたのは、HRが始まるギリッギリの時間。
なるべく佐倉と顔を合わせたくなくて、家を出るのを渋っていたせい。
教室に入った私を見て、萌菜が駆け寄ってきた時にはHRのほんの2分前くらいで。
「今日はもう休みかと思った〜!」と、私の登場を喜んでくれている萌菜に、朝、鏡の前で練習した笑顔で「皆勤賞狙ってるっつーの」と、軽口を叩く。
正直、萌菜が話しかけてくれてホッとした。
隣の席は佐倉。
あのまま席に着いちゃってたら、朝から佐倉とにこやかに会話しなきゃいけないところだった。
いくらなんでも、それはキツイ。
とは言え、避けて通れることでもなくて。
……いつ話そう?
HRが終わったら?
それとも、昼休み?
この際、今日1日なんでもないって顔して過ごして、放課後の別れ際に……。
そこまで考えて、ダメダメと首をふる。
だって、長引けば長引いただけ、佐倉にバイバイが言えなくなることは目に見えてる。
席に着くなり、隣から視線を感じる。
顔を向ける勇気がなくて気づかないフリをする私に、いつも通り
「はよ」
穏やかな佐倉の声がした。