もう、我慢すんのやめた


「あ、……うん、おはよ!」


動揺してるのがバレないように、って。
思えば思うほど不自然な仕草ばかりしてしまうから困る。



「……HR終わったら、話す?」



何かを悟ったみたいな佐倉の声。
私が言い出せないことに気づいて、自分から切り出してくれたのかな?って。


どうしようもなく、張り裂けそうになる胸。
……佐倉のこと、大好きなのに。


どうして私、傷付けようとしてるの?
どうしたらいいんだろう。


何が、正解?



「……うん、HR終わったら」



佐倉の言葉に静かな頷いたとき、HRの開始を知らせるチャイムと、勢いよく教室に入ってきた担任の熱血極まりない声が朝から轟いた。



ダメだな。佐倉の声を聞くと、私の心はすぐにグラグラ揺れる。


事故にあいそうだったところを弥一に助けてもらって、私はやっぱり弥一が好きだって再確認した……。

代わりにケガをした弥一のことを放っておけないから、弥一のケガが治るまで、そばにいてあげたい。



……そういう設定なんだから。


だけど、もし佐倉が傷付いたら、そんな佐倉を目の当たりにした私もきっと、傷付かずにはいはれないと思う。
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