もう、我慢すんのやめた
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「……話って、なに?」
佐倉と向かい合っている今。
私の心臓のドキドキが、嫌なくらいうるさい。
永遠に終わらなくていいと思ってたHRも、当たり前に終わりが来て、
"ちょっと出るか"と、教室を連れ出されてたどり着いたのは、人通りの少ない非常階段の踊り場。
ここなら、人に聞かれることはないだろう。
わざわざこの場所を選んでくれたってことは、佐倉としても、私が今から言うことが少なからずいい話じゃないって勘づいてるんだね。
「……うん。えっと、どこから話そうかな」
「時間まだあるし、ゆっくりでいい」
「……うん。あのね、実は昨日、車に轢かれそうだった男の子を助けようと道路に飛び出して、……もう少しで危ないところだったんだ」
私の話を聞くなり、佐倉の纏ってる雰囲気が少しだけ怒りを含んだ。
「は?そんなの、昨日一言も言ってなかったろ?」
「……ごめん、言えなくて」
いつもより、強めの話し方をする佐倉に、素直にそりゃそうだよなって。
もっともっと、責めてくれればいいって思う。