もう、我慢すんのやめた
「なんで言えねぇんだよ。つーか……。芽唯の性格考えたら助けたいって気持ちもよく分かる。すげぇ分かるけど。……もっと自分大事にしろよ」
だけど、やっぱり佐倉はどこまでも優しく私を包み込もうとする。私の心を簡単に溶かしてしまおうとする。
「っ、……ごめん」
「あー、マジ。……無事でよかった」
言いながら、私の頭を抱え込むみたいにして、自分の腕の中にすっぽり包んでしまった佐倉に
いよいよ、言い出すのが辛くなった。
『……無事でよかった』
昨日の弥一の言葉と重なって、胸のあたりでドクッと嫌な感覚を覚える。
「話って、それだけ?……それとも、」
「ごめん……!私なんかのこと好きって言ってくれたのに……、佐倉、本当にごめん」
軽く両手で佐倉の胸を押して、出来ることならずっと居たかったその場所から抜け出した私と、
「っ、」
驚いたように、どこか傷付いたように目を見開く佐倉。
「昨日、弥一に助けてもらったの。弥一がいなかったら多分、今頃、学校には来れてなかったと思う。私の代わりに、弥一がケガして、全治2ヶ月はかかるって」
「……っ、」