もう、我慢すんのやめた


佐倉にはいつも、泣いてるところばかり見られてる気がする。……その度、助けられて、救われて、癒されて、励まされてる。


なのに、なのにどうして私は


佐倉に何一つ返せないまま、また傷付ける道を選んだんだろう。



……弥一にケガをさせた罪悪感ばかりに捕らわれていたけど、佐倉を傷付ける罪悪感を見落としていた。


目先のことばかりに囚われて、思慮が及ばないのは私の悪いところだ。



「佐倉……っ、私……!ごめ、っ、ごめん」



泣けばいいと思うなって。
お前なんかいらないって、絶対幸せになるなって、責めて、どこまでも突き放してくれたらいい。



「いつまで泣いてんだよ、バカ」



そう思う気持ちは、嘘じゃないのに。



「……そんな顔させるくらいなら、やっぱ言わなきゃよかった」

「さ、くら……?」

「忘れろ。お前が好きだってやつ、アレ取り消す」

「……っ!」

「今から俺とお前は、席が隣同士ってだけのただのクラスメイト。だから、どこにでも行け」



いざ、こうして突き放されると、想像してた数十倍、胸が痛くて、苦しくて、喪失感に押し潰されそうになる。



「ありがと、……佐倉」



それが佐倉の優しさだって分かってるから、どこまでも自分勝手だけど、余計に悲しかった。
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