もう、我慢すんのやめた


あれから、佐倉との距離は驚くほど遠くなった。
あれほど近くにいたのに、そのどれもが夢だったかのように、今は佐倉が遠くて仕方ない。


というのも、佐倉と別れた次の週。

夏休み明けに実施すると言われてはいたものの、文化祭の関係でバタバタとLHRの時間が潰れて、ずっと延期になっていた席替えがあった。


隣だった佐倉との席は、呆気なく離れて。
1番廊下側の前から2番目の私と、窓側から2列目の一番後ろの佐倉。


萌菜には全部、素直に打ち明けた。
今までの佐倉との関係も、事故のことも、弥一のそばにいることを選んだことも。


「言うのが遅い!」ってすっごい怒られたし、「本当にそれでいいわけ!?」って何度も聞かれた。


良いか、悪いか。
その2択しかないとすれば、きっと後者。


だけど、これが私にできる精一杯だったんだよ。



弥一への罪悪感を抱えながら、いつもどこかに弥一がいる私じゃ、佐倉を幸せには出来ない。


そう思ったから、ちゃんと弥一と向き合うことを決めたんだって、まだ本当は佐倉が好きだって。


そう言った私に、萌菜は『悲劇のヒロインぶるな』って怒った。


< 182 / 233 >

この作品をシェア

pagetop