もう、我慢すんのやめた


どんどん小さくなる佐倉の背中を、いつまでも目で追って。私の全身から佐倉への好きが溢れ出した頃、



「……芽唯?お待たせ」



背中から声がして、ハッと現実に引き戻される。


「あ、早かったね!もう用済んだ?」

「ん。進路のことで、担任に呼ばれてさ。クソだりぃな〜高校3年生って」

「進路かぁ。私、全然決めてないや。……そう言えば弥一、進路どうするの?近場の大学とか?」

「んー。色々候補はあるけど……まだ迷ってんだよな」



"とりあえず、帰ろう"と、歩き出した弥一は松葉杖を使って歩き出した。

……やっぱり、もう松葉杖なんていらないって強がってるけど、きっと無理してるんだと思うんだ。


本当は自分だって不安を抱えながら生活してるくせに。私の心配を減らそうとしてるのかな?

私のことなら気にしないでいいのに。
……私のせいで弥一がこんなことになったんだもん。私は最後まで、ちゃんと弥一の足が完治するまで、そばにいて支える覚悟だよ。


「弥一、そっちのカバン持つよ」

「あぁ、これ?いいよ。これ教科書入ってて重いし」

「だからじゃん。松葉杖つきながらじゃ大変でしょ?ほら、貸して」

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