もう、我慢すんのやめた
今さら佐倉に気持ちを伝えるなんて、いい加減にも程がある。
そう思ってた。
だけど、そんなの全部、私がいい子でありたいがゆえの、言ってしまえば偽善。
好きになったら、止められない気持ちがある。
それは、佐倉を好きになって初めて知った感情。
弥一の時にはなかった、行動力。
いつもどこか受け身で、待ってばかりだった私が、今、やっと自分の意思で自分から動こうとしてる。
佐倉だけは、諦めたくないって思うから。
弥一との関係がどうとか、ケジメがどうとか。そんなのもうどうだっていい。
手が届くなら、まだ間に合うのなら、今からでも私は佐倉の胸に飛び込みたい。
ワガママばかりだけど、
本当に本当に自分勝手だけど、
もし、佐倉がそんな私を許してくれるなら。
───お願い、間に合って。
そう、強く強く心の中で祈って、カラカラに乾いた水分を感じられない口の中をどうにか必死に潤す。
ゴクリと喉がなって、
どんな言葉で伝えようって考えているうちに、私の涙腺はまたずるいことを考え始めた。