もう、我慢すんのやめた
「それ、日焼け止め?」
「うん、去年もこれ使ったけど、焼けなかったからオススメ!」
「ふ〜ん、じゃあほら」
「え……?」
スッと差し出された私より筋肉質な腕。
自分から聞いといて、こんなに驚いてるなんて変だけど。相手は女性恐怖症の佐倉だよ?
きっと、深く考えずにいってるんだろうな。
私が触ったら飛び跳ねて顔真っ赤にするくせに。
「いいの?」
「……ん」
再度確認してみても、佐倉は静かに頷くだけ。
そんな佐倉に知らないからね、と思う。
自分の手の平に日焼け止めを出して、その手を佐倉の腕に伸ばす。
おかしいな……。
なんか、私の方がドキドキしてる。
「っ、」
私の手が佐倉の腕に触れた瞬間。
分かりやすく佐倉は固くなったけれど、触れた手が振り払われることはなかった。
「大丈夫?」
「……ん」
「無理するのは良くないよ、軽く付けたからあとは自分で塗りな?」
今思えば、初めから佐倉の腕に日焼け止めをかけたら良かったのに。
わざわざ、自分の手に出してから塗るなんて。
触りたいみたいじゃん。
ちょっと、間違えたかな。