もう、我慢すんのやめた
「っ、……私、佐倉が好きだよ。本当は佐倉のこと、ずっと好きだった」
「は、」
「本当は弥一との関係にケジメ付けたら、佐倉に好きって言おうって思ってた。だけど、あの事故があって、私の代わりに弥一がケガして……。そばにいなきゃって思った。……だから、不器用でごめん。でも、佐倉が私のこともう好きじゃなくっても絶対振り向かせるって決めたんだ!だから」
だから、これからもそばにいさせて欲しい。
そんな私のお願いは、突然抱きしめられていたはずの佐倉の胸の中からグイッと引き離されて、声にならず
代わりに、目の前にドアップで佐倉の顔が近づく。
そのあまりの近さに驚いて
「っ、さく───」
慌てて名前を呼ぼうとした時には、その距離がゼロになって。くちびるに、柔らかくて温かい感触。
すぐにパッと離れた体温。
なに?と、追いつかない頭。
「なんなのお前、可愛すぎ」
「〜〜っ、」
理解したと同時に、佐倉のそんな言葉が聞こえて、みるみる体が火照っていくのを感じる。
どんなときも甘く香る、柑橘の匂いが鼻から抜けて、はちみつレモンみたいに甘酸っぱいキスの味。
「俺は、芽唯しか好きになれねぇ。言ったろ?芽唯にしか触れたくねぇって。多分、俺はもう芽唯にしか欲情しねぇ。芽唯がいれば、他はどうでもいい」