もう、我慢すんのやめた
同じクラスになって、初めて話したあの日から。
『紗蘭ちゃんって呼んでいいかな?』
『わ、私も……芽唯ちゃんって呼んでいい?』
私の中で、紗蘭ちゃんはとっくに友達だった。
「多分、みんなそう思ってるよ。せっかく一緒の班になったんだし、2泊3日楽しもうね」
「芽唯ちゃん……。ありがとう」
すごい嬉しそうに笑ってくれるから、何だか私がすごくいいことをしたみたいな気分になってしまう。
別に、なんてことない。
私が思ってることを言っただけなのに。
「うん。ほら、紗蘭ちゃんも行っといで」
「……うん!行ってくるね!」
小さくファイティングポーズを決めてから、私に向かってヒラヒラと手を振って、
砂浜をかけて行く紗蘭ちゃんのう白姿は天使そのもので。
あれじゃ、またテツがメロメロになって萌菜が激怒するだろうな。
なんて思うと、ちょっとだけ苦笑いが零れた。
テツの鈍男っぷりには手を焼く。
今度こそ誰もいなくなった砂浜。
ふと思い出すのは……。
「……そういえば佐倉、どこいったんだろ」
海水浴場に着いた途端、ふらっとどこかに消えてしまった佐倉のこと。