もう、我慢すんのやめた
佐倉のことだから、
女子の水着なんか見たくないとか。
そもそも海水浴に興味ない。
……なんて、くだらない理由だろうけど。
せっかくのフリータイムなのに、単独行動なんてつまんないやつ。
まぁ、海に入らずここでボーッとしてる私が言えたことじゃないかもしれないけど。
「……探しに行くか」
せっかく、同じ班なんだし。
海に入らない者同士、話し相手くらいにはなれる。
水着の上からパーカーを羽織って、私は炎天下の中、パラソルの外へと飛び出した。
せっかく塗った日焼け止めは、この暑さじゃ、汗に混じって流れてそう。
海水浴なめてたなぁ。
佐倉は人の多い砂浜には、きっといない。
そんな根拠の無い直感が働いて、私は少し離れた木陰のベンチを目指す。
大きな木の下にあるベンチは、遠目から見て数人座っているのが分かる。
あそこなら、多少の暑さは凌げるし人も少ない。
焼けてもいいとか言っておきながら、暑いのは嫌そうだし。
きっと佐倉がいるなら、あのベンチしかない。
それとも先にコテージ戻ったかな……?