もう、我慢すんのやめた
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「え?芽唯がダメだったの?」
「うん、ウザがられた」
「芽唯でダメなら、みんなダメじゃん。佐倉、友達出来ないかもね」
萌菜がパンにかぶりつきながら、眉間にシワを寄せた。って言うのも、今朝の佐倉とのやり取りを伝えたからなんだけど。
「でも、転校初日で佐倉もきっと気ぃ張ってるんじゃないかな」
「だから、それを汲んで声をかけたんでしょ?芽唯は」
「まぁ、そうなんだけど」
「私なら絶対頭にくるけどなぁ。芽唯って、本当に根っからのお人好しだわ」
そう言いながらも、萌菜はパンを口に運ぶ手を止めない。
めっちゃ食うじゃん。
いや、いっぱい食べる萌菜が好きだけどさ。
それに、少なからず私もムッとしたよ。
すっごいスカした嫌なやつ!って思ったし。
でも、だからって朝のやりとりだけで佐倉くんの全部を分かったつもりになっちゃダメだと思うし。
この先、話しかけ続けたら、もっと色んな佐倉くんを知れて、友達になれる日だって来るかもしれない。
そんな気持ちの方が大きい。
だからお節介ってよりも、やっぱりお人好しって言葉の方が自分にはしっくり来るのかもしれない。