もう、我慢すんのやめた
まだ隠れてない私を見て薄明かりの中でも分かるくらいテツが青ざめる。
だけど、絶対それ以上に私の顔は青いと思う。
……あーあ、丸刈りかな?
私、モアイに突き出されるのかな。
なんて思っていた私は
───グイッと強く腕を引かれて、何か何だか分からないまま身体ごと後ろに倒れ込む。
驚きで声も出せないうちに、急に視界は真っ暗になって……もうパニックどころの騒ぎじゃない。
「さ、くら?」
「シッ、声出すな」
布団の中、どんなに目を凝らしても、私に見えるのは白い掛け布団だけ。
だけど、佐倉のいい香りがする。
ここはきっと、佐倉の布団の中で。
きっと鈍臭い私を隠すために咄嗟に布団に入れてくれたんだって気付くのに
そう時間はかからなかった。
「お?起きてんのは竹内、菅野、宮田……だけか?」
「ごめん、ハルミチ。恋バナしてたらちょっと楽しくなっちゃって」
「そうそう、恋っていいよなぁ〜」
「ハルミチも恋してる?」
布団の外では、上手く誤魔化そうとするテツの声と、それに乗っかる菅野くんと宮田くんの声。