もう、我慢すんのやめた

「恋してるも何も、俺は妻子持ちの36歳だっつーの」

「え!ハルミチ子どもいんの??」

「あぁ、びっくりするくらい嫁さんに似て可愛い女の子……って、いいからもう寝ろ!」

「可愛い女の子……将来は俺の嫁かもな」

「……宮田には絶対やらん。とにかく早く寝ろよ」


"へいへ〜い"なんて気の抜けた返事を繰り出して、何とかハルミチを追い返したテツたち。


佐倉に背中から抱きしめられている今……私の心臓は今にも破裂しそうなくらいドキドキしてる。


私の背中に顔を埋めたまま動かない佐倉に、どうしていいのか分からない。


もうハルミチは居ないはずなのに、布団から出るタイミングが掴めなくて……。



「ねぇ、佐倉」


私を抱きしめる緩い腕の中で、思い切ってグルッと方向転換すれば


驚いた顔した佐倉とバチッと視線が絡む。


その瞬間、おでこが触れ合うほどの近さに恥ずかしさと、ドキドキが溢れ出して

あー、振り向いたの失敗だったかも

って思ったのに。


なぜか佐倉から目が離せない。


ドッドッドッドッ……。

佐倉の心臓?私の心臓?
どっちがどっちか分かんないくらい、激しく鳴り響くドキドキの音。
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