もう、我慢すんのやめた
「お前、こっちじっと見すぎ……!」
「え……あ、ごめん」
勢いよく佐倉が起き上がれば、私を隠してくれていた布団はバサッと音を立てて、姿を消す。
代わりに、布団の中よりも少しだけ冷たい空気が私を包んでいく。
……どうしよ。
佐倉の腕の熱が、消えてくれない。
「おい、いつまで転がってんだよ」
「……あの、佐倉ありがとう」
まさか、佐倉が助けてくれるなんて思いもしなかった。ましてや、自分の布団に入れてくれるなんて。
「お前、思ってる以上にまじで鈍臭いな」
「そ、そんなこと……!」
確かに。さっきはちょっと出遅れたけど
いつもいつも鈍臭いわけじゃないつもりだよ。
布団からやっとの思いで起き上がれば
同じく向こう側の布団から出てきた萌菜と紗蘭ちゃんが私を見て目を丸くした。
「なに!?……芽唯もしかして」
「あー、うん。佐倉が隠してくれた」
「……いやいや!何そのあっさりした返事」
「え?」
「佐倉、本当に女性恐怖症なわけ!?」
……確かに、それは言えてるけど。
でも多分"今回も"咄嗟のことだったんだろうし。