もう、我慢すんのやめた
結局、弥一の姿をあまり目にしなくなった今も
完全に吹っ切れたわけじゃないんだから、恋って本当に難しい。
自分の意志とは関係なしに
その人を求めて心が疼く感覚。
……今でも、たまにある。
「好きって、もっと簡単だといいのにね」
ボソッと呟いた私の言葉に、萌菜が驚いた顔してこっちを見るから
「なーんて、そもそも好きとかよく分かってないんだけどね」
今度は慌てて笑顔を作る。
私が弥一を好きだってことは、萌菜にも言ってない。もっと言えば、弥一と幼なじみだってことすら言えてないんだ。
言ったら萌菜のことだから、応援してくれるのは分かってるけど、
今はそれが、自分の中で負担になるような気がしてしまったから。
「萌菜とテツ、私は誰よりお似合いだと思ってるし、応援してるからね!」
「ありがと、芽唯……!芽唯も好きな人できたら教えてよね?」
「もちろん!」
もっと言えば、
この気持ちが恋なのか、それとも古傷がたまに疼くみたいな……過去の気持ちなのか。
それが、自分でもよく分からないから
萌菜に胸を張って言えないんだろうなぁ。