もう、我慢すんのやめた


別に嫌なわけじゃないのに、つい咄嗟に聞き返してしまった。


「せっかく転校してきたわけだし、臨海研修で仲良くなりてーじゃん?佐倉、話してみたらイイヤツだし、お前らも仲良くしてやって」


テツも、基本誰とでも仲良くなれるタイプで男女共に人気者。

とはいえ、だ。


私のことはあんなに拒絶しておいて、テツとはもう仲良くなったの?……って少しモヤモヤする。


「……いいよ、一緒に楽しもうね」


でも、それはそれ。これはこれ。


臨海研修で仲良くなれるかもしれないし、今朝のことを根に持って”やだ!”って言うほど、あいにく狭い心は持ち合わせてない。


「萌菜は?」

「私は、芽唯がいいなら」

「じゃあ、決まりな!西川にも俺から聞いとくわ」


臨海研修では男女それぞれ3人が、1つの班になって行動する。

西川というのは、私たちの班のもう1人の女の子、西川紗蘭(にしかわ さら)ちゃんのことだ。


天使のようなルックス。
華奢で守ってあげたくなるような小ささ。

なのに、それを鼻にかけることのない謙虚さで、いつもフワッと華のように微笑む。


そりゃもう。
女の私から見ても、かっっっわいい!!
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