もう、我慢すんのやめた
「じゃあ、これから友達ってことでいい?」

「は?」

「え、なに?ダメなの?」

「”馴れ馴れしくてごめん”って、嘘かよ」

「そ、それは……!だって、佐倉くんさっき”よろしく”って言ったよね?」

「友達になるとは一言も言ってねえだろ」



ぐっ、そう言われてしまえば何も言えない。


せっかく仲良くなれるかも!って思ったのに。

また、振り出し。



「ねぇ、佐倉くん。人と話す時は相手の目を見るって教わらなかった?」



こっち向け!とばかりに、グイッと佐倉くんの腕を引っ張る。


「……ばっ、触んな!!」

「!?」



一瞬のできごと。
私が佐倉くんの腕を掴んで、強く引いたその瞬間。



「さ、佐倉くん?……顔、真っ赤」

「うるせぇ、一々声にだして言うな!」

「も、もしかして」


私から、数歩距離を取った佐倉くん。


私と佐倉くんのやり取りに、未だに言い争っていたふたりもこちらへと視線を向けた。


少し触っただけなのに、みるみる真っ赤に染まってしまった佐倉くんの顔。
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