もう、我慢すんのやめた
「……もし、芽唯が許してくれるなら戻ろう。幼なじみの俺たちに」
本当に、弥一はどこまでもズルい人だ。
この後に及んで、まだ私と幼なじみに戻りたいなんて。
私のファーストキス、簡単に奪っておいて。
私の初恋、簡単に砕いておいて。
私の心、ズタズタにしておいて。
幼なじみになんて、絶対戻れるわけがない。
どんなに他の人に目を向けても
他の誰かにドキドキしても
弥一に会ってしまえば、最後。
私はどうしても弥一から離れられない。
ずっと隣にいたいって願ってた。
誰のものにもならないでって思ってた。
その気持ちは、弥一と離れていたこの1年の間に、自分でも知らないうちに大きくなっていて
「……戻ろっか、幼なじみに」
どんな形でも、また弥一のそばにいられるならそれでいいって思ってる。
例えば弥一が"幼なじみ"って言葉に私を縛っても、バカな私は、簡単にその言葉に繋がれて喜ぶんだ。
弥一とまた昔みたいな幼なじみに戻るってことは
弥一のそばにいるということは
……息もできないくらい、苦しいってことなのに。