もう、我慢すんのやめた


それを誤魔化すように
私はわざとらしく明るく振る舞う。


ただの幼なじみだった頃の私たちって、どんなだったっけ?なんて思ってる時点で


上辺だけの"幼なじみ"だけど。


「食いに行くか」

「うん!やっぱりミルクかな〜!チョコも捨てがたいけど」

「ミックスにしたらいいじゃん」

「えー。なんか、ミックスって結局チョコに負けない?」

「それは芽唯の味覚が鈍いからじゃね」

「……もー!すぐ意地悪言うんだから」


弥一は、本当に幼なじみに戻ったつもりなのかな?
……いや、そうじゃなかったらどういうつもりだって話なんだけど。


幼なじみだった頃の弥一よりずっと
隣を歩く弥一が、男の人に見えるのは


やっぱり私が変に意識しすぎてるせいなのかな。


「いちいち怒る芽唯が可愛いから、つい」


───ドキッ


また、サラッとそんなこと言う。
仮にも私が弥一を好きだって気付いてたんなら、迂闊にドキドキさせないで欲しい。


幼なじみに戻りたいなら、私の恋心を煽るのはやめて欲しい。
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