おじさんは予防線にはなりません
普段の私だったら心の中で不満を言うだけで、絶対に本人にはぶつけなかっただろう。
でも、宗正さんに池松さんを莫迦にされた上に釘を刺され、さらには池松さんから宗正さんと付き合っていると誤解しているようなことを言われ、私の沸点はいつもよりもずっと低くなっていた。
「なにがあった?
また宗正で揉めたのか」
池松さんの言葉にせっかく鎮火した感情にまた火がつく。
「なんでそんなこと言うんですか!?
宗正さんは関係ないですよ!
私はただ、池松さんが莫迦にされてたから……!」
「あー……」
私が感情をぶつけると、池松さんは天井を仰いだ。
まるで聞かなきゃよかった、とでもいうかのように。
「あのな、羽坂」
少しだけ背中を丸めて猫背になり、池松さんは私と目を合わせないように俯いた。
「怒ってくれたのは嬉しいが、俺は羽坂にかばわれるほどいい男じゃない。
ただの……ただのおじさんだ」
顔をあげて私を見て、弱々しく笑った池松さんに心臓が握り潰される思いだった。
それは私の気持ちを知って、明確に拒絶するものだったから。
でも、宗正さんに池松さんを莫迦にされた上に釘を刺され、さらには池松さんから宗正さんと付き合っていると誤解しているようなことを言われ、私の沸点はいつもよりもずっと低くなっていた。
「なにがあった?
また宗正で揉めたのか」
池松さんの言葉にせっかく鎮火した感情にまた火がつく。
「なんでそんなこと言うんですか!?
宗正さんは関係ないですよ!
私はただ、池松さんが莫迦にされてたから……!」
「あー……」
私が感情をぶつけると、池松さんは天井を仰いだ。
まるで聞かなきゃよかった、とでもいうかのように。
「あのな、羽坂」
少しだけ背中を丸めて猫背になり、池松さんは私と目を合わせないように俯いた。
「怒ってくれたのは嬉しいが、俺は羽坂にかばわれるほどいい男じゃない。
ただの……ただのおじさんだ」
顔をあげて私を見て、弱々しく笑った池松さんに心臓が握り潰される思いだった。
それは私の気持ちを知って、明確に拒絶するものだったから。